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デジタル化・AI導入補助金2026|通常枠とインボイス枠は同時申請しない方がいい?加点・減点と申請順を徹底解説

この記事のポイント
デジタル化・AI導入補助金2026では、通常枠とインボイス枠を同じ年度に併用すること自体は可能です。ところが、公募要領を細かく読むと、通常枠とインボイス枠の双方に「他方の枠で申請中、または交付決定済みの事業者を減点する」という規定があります。

つまり、「両方申請できる=同時に出しても審査上まったく不利にならない」ではありません。複数のITツールを導入したい企業ほど、どの枠を先に出すか、同じ公募回で出すか、結果を待って次の回にするかまで考えて申請する必要があります。

デジタル化・AI導入補助金2026では、通常枠とインボイス枠を併用したいという相談が少なくありません。

たとえば、顧客対応や営業管理のシステムは通常枠で導入し、会計・受発注・請求関連のシステムはインボイス枠で導入する、といったケースです。

制度上、こうした複数枠への申請は可能です。公式FAQでも、通常枠とインボイス枠について「同一の公募回でも、別々の公募回でも構わない」とされています。

ただし、ここで見落としやすいのが「加点・減点」です。

2026年の公募要領には、通常枠とインボイス枠の双方に、他方の枠へ申請している事業者を減点する規定があります。さらに、過去の採択実績、導入するITツールの機能重複、過去の賃上げ加点の未達などによって追加の減点や、場合によっては不採択となるルールまで設けられています。

この記事では、2026年9月20日時点の公募要領をもとに、通常枠・インボイス枠の加点と減点、同時申請の注意点、申請回を分ける考え方まで整理します。

注意
加点・減点の「具体的な点数」は公表されていません。たとえば「通常枠との併願で何点マイナス」といった数値は公募要領からは確認できません。本記事では、公開されている審査ルールをもとに申請上の考え方を整理しています。

通常枠とインボイス枠は同時申請できる

最初に確認しておきたいのは、通常枠とインボイス枠への複数申請自体は禁止されていないという点です。

2026年の公募要領では、通常枠を申請しながらインボイス枠を申請し、双方で交付決定を受けることも可能とされています。公式FAQでも、同一公募回に申請しても、別々の公募回に申請してもよいとされています。

ここが重要です
「同時申請できる」というルールと、「審査上の減点がない」という話は別です。制度上は併願可能でも、審査では互いの枠への申請状況が減点要素になります。

通常枠とインボイス枠は「相互に減点」される

2026年の通常枠では、インボイス枠で申請中、または交付決定を受けた事業者について、審査上の減点措置を講じると定められています。

逆にインボイス枠でも、通常枠で申請中、または交付決定を受けた事業者が減点対象です。

つまり、同じ公募回で通常枠とインボイス枠を同時に申請すると、原則として次の構図になります。

同一回で通常枠+インボイス枠を同時申請
通常枠 → インボイス枠に申請中のため減点対象
インボイス枠 → 通常枠に申請中のため減点対象

もちろん、減点対象になっただけで自動的に不採択になるわけではありません。事業面の審査や他の加点項目との合計で採否が決まります。

ただし、採択ライン付近で競っている場合には、同時申請による減点が結果に影響する可能性はあります。

「同じ回で出す」より「回を分ける」方がよいケースがある

ここからが実務上のポイントです。

通常枠とインボイス枠を両方使いたい場合、あえて同じ回に申請せず、優先度の高い方を先に単独で申請し、その結果が出てからもう一方を申請する方法が考えられます。

申請方法先に出す枠後から出す枠考え方
同一回に同時申請他枠に申請中のため減点対象他枠に申請中のため減点対象双方に減点が乗る可能性
インボイス枠を先に単独申請通常枠未申請なら、通常枠との併願減点を避けられる先のインボイス枠が交付決定されれば減点対象インボイス枠を優先したい場合に検討
通常枠を先に単独申請インボイス枠未申請なら、インボイス枠との併願減点を避けられる先の通常枠が交付決定されれば減点対象通常枠を優先したい場合に検討

ここで誤解してはいけないのが、「回を分ければ両方とも減点ゼロになる」とは限らないということです。

先に申請した枠が交付決定された場合、後から申請する枠は「他方の枠で交付決定を受けた事業者」に該当するため、後発の申請では減点対象になります。

したがって、回を分ける主な意味は、最優先の1申請を、他枠との併願減点がない状態で審査に出せる可能性があることです。

申請順を決める考え方
「どちらを先にするか」は、単純にインボイス枠を先にすればよいという話ではありません。補助金額、補助率、導入時期、事業上の必要性、不採択時の影響などを見て、絶対に優先したい方を先に単独申請するのが基本です。

先に申請した枠が不採択だった場合はどうなる?

ここは慎重に考える必要があります。

公募要領の減点規定は「他方の枠で申請を行っている、もしくは交付決定を受けた事業者」と記載されています。一方で、「過去に不採択となった申請」まで減点対象に含むかどうかは、この文言だけでは明確ではありません。

そのため、先の申請結果が不採択となった後に別枠へ申請する場合は、申請時点の最新FAQや事務局確認を行ったうえで判断するのが安全です。

さらに注意したい「同一機能」の追加減点

通常枠とインボイス枠の併願減点には、もう一段階あります。

公募要領では、過去の交付決定や2026年の他枠申請で選択したITツールと、今回導入するITツールが同一の「会計・受発注・決済」機能を有する場合、更なる減点を行うとされています。

「業務プロセスが少し似ている」だけではありません
この追加減点で明示されているのは「会計・受発注・決済」の同一機能です。たとえば一方が顧客対応・販売支援、もう一方が会計・受発注であれば、この条文上の「同一機能」に直ちに当たるわけではありません。

通常枠のツールにも会計機能があり、インボイス枠でも会計機能を持つツールを導入する、といったケースでは特に注意が必要です。

過去のIT導入補助金採択も減点対象になる

2026年の通常枠・インボイス枠では、IT導入補助金2022から2025までの間に交付決定を受けた事業者も減点対象です。

つまり、今回初めて申請する企業と、過年度にIT導入補助金を活用した企業では、審査上のスタート地点が同じとは限りません。

さらに、過年度で導入したITツールと今回のツールに「会計・受発注・決済」の同一機能があれば、追加減点の可能性があります。

2024・2025採択ソフトとプロセスが重複する場合は特に注意

もうひとつ重要なのが、2024年または2025年に交付決定を受けたソフトウェアとの業務プロセス重複です。

公募要領では、過去に交付決定を受けたソフトウェアのプロセスと、今回導入するソフトウェアのプロセスが重複する場合は減点対象とされています。

さらに、プロセスが完全に一致する場合は不採択と明記されています。

ここは「通常の減点」と扱いが違います
一部重複なら減点ですが、完全一致は不採択です。過年度にIT導入補助金を利用している場合は、前回のITツール登録プロセスと今回の登録プロセスを必ず照合しておく必要があります。

インボイス登録済みは「減点」ではない

インボイス枠でよく誤解されるのが、適格請求書発行事業者の登録状況です。

2026年のインボイス枠では、申請時点でインボイス登録を受けておらず、実績報告日までに登録し、登録通知書を提出することを約束する事業者が加点対象です。

一方、すでにインボイス登録済みの事業者については、この項目の加点を受けられません。

申請時の状態扱い
インボイス未登録+実績報告までに登録予定加点対象
すでにインボイス登録済みこの項目は加点対象外
登録済みなのに未登録として申告原則として交付決定取消しにつながる可能性

したがって、「インボイス登録済みだから減点される」という理解は正確ではありません。

正しくは、登録済みの場合は未登録事業者向けの加点を取れないため、加点対象の事業者と比べると相対的に差がつくということです。

インボイス枠の主な加点項目

インボイス枠では、単にインボイス対応ツールを入れるだけでなく、複数の政策加点があります。2026年9月20日時点の主な項目を整理すると、次のようになります。

主な加点項目ポイント
サイバーセキュリティお助け隊サービス対象サービスを選定
決済機能を有するクラウド製品第2回公募回で加点措置
スマートレジ第3回以降の加点。現行要領ではこの取組を特に重視すると記載
賃上げ計画事業場内最低賃金や1人当たり給与支給総額の要件あり
インボイス未登録からの登録予定申請時未登録で、実績報告までに登録する場合
IT戦略ナビwith申請前に実施し、所定の結果を添付
健康経営優良法人2026認定事業者
えるぼし・くるみん等認定取得が必要。一般事業主行動計画の届出だけでは別扱い
成長加速マッチングサービス締切時点で会員登録し、挑戦課題が「掲載中」であること
省力化ナビGビズIDを入力し、「解決策」のPDFまでダウンロード
最低賃金関係の加点対象期間の最低賃金近傍の従業員割合、直近月の賃金水準等

特に「省力化ナビ」は、単にサイトを見るだけではなく、所定のステップを進めて「解決策」のPDFをダウンロードするところまで必要とされています。

通常枠にも独自の加点がある

通常枠側でも、加点を積み上げられる項目があります。

代表的なものとして、クラウド製品、サイバーセキュリティお助け隊サービス、インボイス制度対応製品、デジタル化セカンドオピニオン、賃上げ、IT戦略ナビwithまたはIT経営サポートセンター、健康経営優良法人、えるぼし・くるみん、成長加速マッチングサービス、省力化ナビ、最低賃金関係の加点などがあります。

なお、デジタル化セカンドオピニオンは第3回公募回から加点、IT経営サポートセンターは第6回公募回から加点措置が実施されています。

通常枠でもインボイス枠でも、「取れそうな加点を申請直前に探す」のでは遅いものがあります。認定制度や賃上げ計画だけでなく、締切前に外部サービスの登録・利用が必要なものもあるため、申請準備の初期段階で加点チェックを行うことが重要です。

賃上げ加点は「取れば得」だけではない

賃上げ加点は採択審査ではプラスになりますが、申請後の管理まで含めて判断する必要があります。

公募要領では、賃上げ計画による加点を受けて採択されたにもかかわらず、加点要件を達成できなかった場合、正当な理由が認められない限り、その後の中小企業庁所管補助金で大幅な減点を受ける仕組みが定められています。

さらに2026年の通常枠・インボイス枠では、過去のIT導入補助金で賃上げ加点を受けて採択されたにもかかわらず未達だった事業者や、他の中小企業庁所管補助金で同様に賃上げ加点を受けて未達だった事業者も減点対象です。

無理な賃上げ加点は避ける
採択のためだけに実現可能性の低い賃上げ計画を設定すると、将来の補助金申請にまで影響する可能性があります。加点を取る場合は、3年間の人員計画、昇給、賞与、採用・退職の可能性まで含めて検討する必要があります。

採択率だけを見て「どちらが通りやすい」と判断しない

2026年9月2日時点で公表されている交付決定実績を見ると、通常枠もインボイス枠も、公募回によって申請件数と交付決定件数に差があります。

1次締切では通常枠2,028件に対して891件、インボイス枠は4,324件に対して2,027件が交付決定。2次締切では通常枠1,879件に対して819件、インボイス枠3,790件に対して2,096件。3次締切では通常枠1,913件に対して807件、インボイス枠3,982件に対して1,781件でした。

これを見ると、いずれの枠も「要件を満たしていればほぼ自動的に通る」という制度ではありません。

加点・減点だけでなく、通常枠では自社の経営課題と導入ITツールの機能が合っているか、内部プロセスの高度化やデータ連携が継続的な生産性向上につながるかなども審査されます。

インボイス枠でも、インボイス制度に対応することに加えて、生産性向上につながる効果的なITツールか、自社の経営課題を理解しているか、といった事業面の審査があります。

通常枠とインボイス枠を両方使う場合の実務的な考え方

複数枠を使う案件では、「申請できるか」だけでなく「どちらを優先するか」を最初に決めることが重要です。

たとえば、インボイス枠で会計・受発注システムとPCを導入し、通常枠で営業支援システムを導入するケースを考えます。

両方を同一回で申請すると、双方が他枠申請中のため減点対象になります。

一方、インボイス枠の方を優先したいのであれば、まずインボイス枠のみ申請し、その結果が出るまで通常枠を提出しない方法があります。この場合、インボイス枠の審査時点では通常枠との併願減点を避けられる可能性があります。

ただし、インボイス枠が採択された後に通常枠を申請すると、今度は通常枠側で「インボイス枠の交付決定を受けた事業者」として減点対象になります。

つまり、申請回を分ける方法は減点を完全に消す方法ではなく、優先する申請を先に守る考え方です。

実務上の結論
通常枠とインボイス枠の両方を検討する場合は、「同時に出せるから同時に出す」のではなく、補助金額・補助率・事業上の優先度・導入時期を見て、最優先の枠を先に単独申請する方法も検討する価値があります。

申請前に確認しておきたいポイント

  • 通常枠とインボイス枠を同じ回で出す必要が本当にあるか
  • どちらの補助金額・補助率・導入時期を優先するか
  • 通常枠とインボイス枠のITツールで「会計・受発注・決済」の機能が重複していないか
  • 2022~2025年にIT導入補助金の交付決定を受けていないか
  • 2024・2025年採択ソフトと今回の業務プロセスが重複していないか
  • 過去に賃上げ加点を利用し、未達となっていないか
  • インボイス登録状況は正しく選択しているか
  • IT戦略ナビwith、省力化ナビ、成長加速マッチングサービス等の加点を取りこぼしていないか
  • 賃上げ加点は実際に3年間達成できる計画になっているか
  • 申請直前ではなく、公募回の締切から逆算して準備しているか

まとめ|「申請できる」と「同時申請が有利」は別の話

デジタル化・AI導入補助金2026では、通常枠とインボイス枠を同じ年度に併用することはできます。公式FAQ上も、同一公募回・別公募回のどちらでも申請可能です。

しかし、公募要領では通常枠とインボイス枠が互いに減点対象となる仕組みが設けられています。

さらに、過去のIT導入補助金の交付決定、同一の会計・受発注・決済機能、過去ソフトとのプロセス重複、賃上げ加点の未達など、申請履歴によって審査上の扱いが変わる項目もあります。

そのため、複数枠を利用する場合は、単に「通常枠とインボイス枠を両方出す」という考え方ではなく、どちらを先に出すか、同じ回にするか、結果を待って次の回にするかまで含めて申請計画を作ることが重要です。

特に、補助額の大きい申請や、事業上どうしても優先したいITツールがある場合は、その枠を他枠との併願減点がない状態で先に申請できないか検討するとよいでしょう。

申請前の最終確認
デジタル化・AI導入補助金は、公募回の途中でも公募要領や加点項目が更新されることがあります。実際に2026年も複数回の改訂が行われています。申請時には、必ずその時点の最新公募要領・FAQ・交付申請マニュアルを確認してください。

参考資料

・デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)
・デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(インボイス枠・インボイス対応類型)
・デジタル化・AI導入補助金2026 よくあるご質問
・デジタル化・AI導入補助金2026 交付決定事業者一覧

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