レジの買い替えや、消費税率の変更に対応するためのシステム改修を検討している事業者に向けて、デジタル化・AI導入補助金2026に「スマートレジ類型」と「POSレジ類型」が新設されます。2026年10月29日には、対象経費や補助率、申請方法などをまとめた案内が公表されました。
中小企業・小規模事業者等では、対象となるソフトウェアの導入費用やシステム改修費用について、機能数に応じて最大350万円、ハードウェア導入費用については最大20万円の補助が設けられています。
今回の特徴は、2026年9月15日以降に導入・改修を行い、支払いまで完了した後に補助金を申請する「事前着手制度」であることです。ただし、先に購入・改修をすれば自動的に補助金を受け取れるわけではありません。契約日、導入する製品、支払方法、保存する書類まで、申請前から確認しておく必要があります。
※本記事は、2026年10月29日付のデジタル化・AI導入補助金2026事務局の案内を基準に、2026年9月15日付の中小企業庁の案内資料も参照して作成しています。制度内容は変更される場合がありますので、申請時には最新の公募要領等をご確認ください。
スマートレジ類型・POSレジ類型とは
スマートレジ類型とPOSレジ類型は、2027年4月に予定されている飲食料品に係る消費税率変更と、将来の消費税率変更への対応を支援するために設けられる類型です。レジの導入だけでなく、レジと連携している受発注システムや請求書管理システムの改修も対象に含まれます。
スマートレジ類型:スマートレジの導入と連携システムの改修を支援
スマートレジとは、タブレットやスマートフォンなどの汎用端末にソフトウェアをインストールして利用するレジです。売上データの自動集計や商品別・時間帯別の売上把握など、日々のレジ業務を見直す際の選択肢となります。
スマートレジ類型では、スマートレジシステムの導入と、そのスマートレジに付随する受発注システム・請求書管理システムの改修を支援します。「付随する」とは、システム上の連携関係があることを指します。
POSレジ類型:POSレジの導入・改修を支援
POSレジ類型では、POSレジシステムの導入または改修と、POSレジに付随する受発注システム・請求書管理システムの改修を支援します。
POSレジ類型は、既存レジの改修だけを対象とする制度ではありません。対象となるPOSレジシステムの導入も含まれる点が、検討時のポイントです。
| 申請類型 | 主な支援内容 |
|---|---|
| スマートレジ類型 | スマートレジシステムの導入、および連携する受発注システム・請求書管理システムの改修 |
| POSレジ類型 | POSレジシステムの導入・改修、および連携する受発注システム・請求書管理システムの改修 |
補助率・補助上限額はいくらか
中小企業・小規模事業者等は、機能数に応じて最大350万円
中小企業・小規模事業者等の補助上限額と補助率は、スマートレジ類型・POSレジ類型で共通です。ソフトウェア等の導入費用と対象システムの改修費用は、機能数に応じた同じ補助上限の中で扱われます。
| 対象経費・機能数 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| ソフトウェア等の導入・システム改修:1機能 | 50万円(下限なし) | 3/4以内。小規模事業者は4/5以内 |
| ソフトウェア等の導入・システム改修:2機能以上 | 350万円(下限なし) | 補助額50万円以下の部分は3/4以内、小規模事業者は4/5以内。50万円超~350万円の部分は2/3以内 |
| 対象となるハードウェアの導入 | 20万円 | 1/2以内 |
POINT
小規模事業者の「4/5以内」は、補助額50万円以下の部分に適用される補助率です。補助額350万円までの全体に4/5が適用されるわけではありません。また、この50万円は購入費用ではなく、補助額の区分です。
「1機能」「2機能以上」は何で判断するか
ソフトウェアを導入する場合は、導入するソフトウェアが持つ「会計」「決済」「受発注」の機能から算出します。複数のソフトウェアを導入しても、同じ機能を重複して数えることはできません。
システムを改修する場合は、改修するシステムの種類から機能数を算出します。スマートレジ類型では受発注システム・請求書管理システム、POSレジ類型ではこれらに加えてPOSレジシステムが対象です。
| 導入・改修の内容 | 機能数の例 |
|---|---|
| 「決済」機能のみを持つソフトウェアを導入 | 1機能 |
| 「決済」のソフトウェアと、「決済・受発注」のソフトウェアを導入 | 2機能。「決済」は重複して数えない |
| 受発注システムと請求書管理システムを改修 | 2機能 |
| POSレジ類型で、POSレジシステムのみを改修 | 1機能 |
| POSレジ類型で、POSレジ・受発注・請求書管理の各システムを改修 | 3機能 |
レジシステムの導入と連携システムの改修を両方行う場合は、それぞれの方法で算出した機能数を合算します。単にソフトウェアの本数やレジ端末の台数で判断するものではありません。
中堅企業は、POSレジ類型の改修費用について最大2,500万円
所定の要件を満たす中堅企業は、POSレジ類型のうち、システムの改修費用のみが補助対象となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象経費 | POSレジシステム・受発注システム・請求書管理システムの対象となる改修費用 |
| 補助上限額 | 2,500万円(下限なし) |
| 補助率 | 1/3以内 |
中堅企業はスマートレジ類型の申請対象外です。また、POSレジ類型でも、新たなシステムやハードウェアの導入費用は対象となりません。
申請対象となる事業者と、過去の申請に関する制限
中小企業・小規模事業者等の主な要件
中小企業・小規模事業者等は、通常枠等の公募要領と同様の定義に該当することに加え、次の要件などを満たす必要があります。
- みなし大企業の要件に該当しないこと。
- デジタル化・AI導入補助金2026のIT導入支援事業者として登録されていないこと。
- 本類型で申請者のPOSレジシステム・受発注システム・請求書管理システムの改修を支援する改修事業者ではないこと。
さらに、デジタル化・AI導入補助金2026におけるレジ関連ITツールの交付申請状況について、類型ごとに次の条件が設けられています。
| 申請類型 | 過去の交付申請に関する条件 |
|---|---|
| スマートレジ類型 | 「スマートレジ」に該当するITツールの導入について、交付申請を行っていないこと。ただし、不採択となった場合は除く |
| POSレジ類型 | 「スマートレジ」または「POSレジ」に該当するITツールの導入について、交付申請を行っていないこと。ただし、不採択となった場合は除く |
確認するのは、補助金を受け取ったかどうかだけではなく、交付申請を行っているかどうかです。すでにレジ関連の交付申請を行っている場合は、申請内容と結果を確認したうえで判断する必要があります。
中堅企業には、業種・従業員数・自己資本比率などの条件がある
中小企業・小規模事業者等に該当しない中堅企業については、次の条件などが示されています。
| 確認項目 | 主な要件 |
|---|---|
| 業種・取扱商品 | 飲食料品を取り扱っている小売業者であること |
| 従業員数 | 常時使用する従業員が2,000人以下であること |
| 企業の区分 | みなし大企業に該当しないこと |
| 財務条件 | 直近の財務諸表上、自己資本比率が40%未満であること |
このほか、IT導入支援事業者や対象となる改修事業者ではないこと、POSレジ類型に定められた過去の交付申請に関する条件を満たすことも必要です。上記は案内に示された要件の一部であり、最終的には公募要領で確認してください。
同一事業者による複数回申請・両類型への申請はできない
スマートレジ類型・POSレジ類型では、同一事業者が複数回の交付申請兼実績報告を行うことはできません。また、スマートレジ類型とPOSレジ類型の両方に申請することもできません。
同一事業者であるかどうかの判断には、通常枠等の公募要領に定める「みなし同一法人」の考え方が適用されます。複数の導入・改修を予定している場合は、申請対象とする内容を整理してから手続きを進める必要があります。
補助対象経費と、対象にならない費用
導入費用は、登録されたITツールとIT導入支援事業者が前提
スマートレジシステム・POSレジシステムの導入費用は、デジタル化・AI導入補助金2026に登録されたIT導入支援事業者から導入および導入支援を受けるものが対象です。
導入するソフトウェアやハードウェア等は、交付申請兼実績報告の時点で、該当する内容のITツール登録が完了している必要があります。また、導入費用は、IT導入支援事業者1社または1コンソーシアムから導入支援を受けた経費が対象となります。
| 経費区分 | 主な対象内容・注意点 |
|---|---|
| ソフトウェア | 各類型の対象として登録されたレジシステムのソフトウェア(カテゴリー1) |
| オプション | 対象ソフトウェアに対する登録済みオプション(カテゴリー2・3・4) |
| 役務 | 導入設定、保守サポート等(カテゴリー6・7)。カテゴリー5の導入コンサルティング・活用コンサルティングは対象外 |
| ハードウェア | 各類型の対象として登録されたPOSレジ・モバイルPOSレジ等(カテゴリー9) |
| システム改修 | 更新版・修正版プログラムの購入、設計・構築・テスト、プログラムの適用作業、商品マスタ設定変更等 |
ハードウェアだけの申請はできない
スマートレジ類型・POSレジ類型のいずれも、ハードウェア導入費用のみの申請はできません。それぞれのレジシステムの導入に係るソフトウェア等と、あわせて申請する必要があります。
対象となるハードウェアには、次の違いがあります。
| 申請類型 | 対象となるハードウェア |
|---|---|
| スマートレジ類型 | 登録されたPOSレジ・モバイルPOSレジ。券売機は対象外 |
| POSレジ類型 | 登録されたPOSレジ・モバイルPOSレジ・券売機 |
すでに保有するPCやタブレット等をレジ端末として使い、本体を購入せずにソフトウェアとレジ付属品を導入する形態も示されています。この場合のレジ付属品の購入費用も対象となりますが、付属品のみのITツール登録方法や申請手続きは、別途案内を確認する必要があります。
PCやタブレットを購入すれば、用途や製品を問わず補助対象になるという制度ではありません。使用するレジシステムとの関係と、ITツール登録の内容を確認してください。
改修費用は、消費税率変更に対応するためのものが対象
改修費用の対象は、2027年4月に予定されている飲食料品に係る消費税率変更への対応、または将来の消費税率変更に柔軟に対応するための改修です。
改修については、IT導入支援事業者として登録されていない事業者による作業も対象となり、改修費用のITツール登録は不要です。ただし、見積書や改修事業者に関する資料などの提出が必要になります。
受発注システム・請求書管理システムを改修する場合は、スマートレジまたはPOSレジとの連携関係をシステム連携図で示す必要があります。
なお、改修費用における「利用支援に係る費用」は、商品マスタ設定変更などが対象であり、使用方法に関する教育・指導費は対象外です。また、改修費用のうち、利用支援に係る費用だけを申請することもできません。
事前着手制度と申請スケジュール
今回の2類型は、対象となる導入・改修と費用の支払いを完了した後に、「交付申請兼実績報告」を行う仕組みです。2026年10月29日付の案内では、次の日程が示されています。
| 手続き | 予定期間 |
|---|---|
| 対象期間 | 2026年9月15日~2027年3月頃 |
| 申請受付期間 | 2027年1月中旬~2027年3月頃 |
「2027年3月頃」は確定した締切日ではありません。具体的な終了日や申請期限は、後日公表される交付規程・公募要領で確認する必要があります。
また、対象期間内に支払ったという事実だけでは判断できません。契約日・発注日は2026年9月15日以降であることが必要です。ハードウェアを導入する場合は、納品日も2026年9月15日以降である必要があります。
事前着手の注意点
事前着手制度は、補助金の交付を保証するものではありません。導入・改修や支払いを終えていても、公募要領の申請要件等を満たさない場合は交付対象外となります。補助金を受け取れない場合の費用負担も考慮したうえで、契約・発注を判断してください。
申請方法:申請者本人が手続きを行う
スマートレジ類型・POSレジ類型では、通常枠等の既存の枠・類型と異なり、申請者が単独で申請手続きの情報入力等を行います。申請に必要な情報や書類は、IT導入支援事業者・改修事業者と協力して準備します。
申請マイページを開設する際に、IT導入支援事業者からの招待は不要です。一方で、GビズIDプライムの取得は必要とされているため、未取得の場合は申請に向けて準備してください。
- 対象要件と導入・改修内容を確認する:申請する類型、過去の交付申請状況、対象製品・経費、必要な見積書を確認します。
- 契約・発注、導入・改修、支払いを行う:対象期間と支払条件を守り、取引や作業に関する書類を保管します。
- 申請書類をそろえる:事業者の確認書類、契約・請求・支払いの証拠、画面キャプチャや設置写真などを準備します。
- 申請受付開始後に申請マイページを開設する:2027年1月中旬以降に、事業ホームページから手続きを行う予定です。
- 交付申請兼実績報告を提出する:公開される申請マニュアルに従い、申請者が必要情報を入力して書類を提出します。
中堅企業については申請方法が異なるとされています。上記の手順をそのまま適用せず、中堅企業向けの公募要領・案内で確認してください。
申請に向けて準備・保存する書類
法人・個人事業主の基本書類
| 事業者区分 | 主な提出書類 |
|---|---|
| 法人 | 発行から3カ月以内の履歴事項全部証明書、税務署が発行した直近分の法人税の納税証明書(その1またはその2) |
| 個人事業主 | 有効期限内の運転免許証・運転経歴証明書・発行から3カ月以内の住民票のいずれか、税務署が発行した直近分の所得税の納税証明書(その1またはその2)、税務署が受領した直近分の確定申告書の控え(令和7年分または令和8年分) |
| 小規模事業者に該当する場合 | 所定の様式による従業員一覧 |
| 中堅企業に該当する場合 | 直近の貸借対照表の写し、法人税申告書別表1の写し、飲食料品の取引証憑、店舗での販売写真など飲食料品の取扱いを示す証憑 |
申請時点で事業を行っているものの、初回の決算・納税申告または確定申告を終えていない「新規開業事業者」については、取引先一覧と、個人事業主の場合は開業届が必要です。
新規開業事業者は、申請時の法人税・所得税の納税証明書や確定申告書の控えの提出は不要とされています。ただし、事業実施効果報告では、該当する書類の提出が必要です。
導入・改修の内容を確認するための書類
| 対象・場面 | 主な書類と確認事項 |
|---|---|
| すべての申請者 | 契約書・発注書・注文書、請求書・請求明細書、支払いの完了が分かる証憑、補助金を受け取る口座情報が分かる書類 |
| ソフトウェアの導入 | ソフトウェア名と補助事業者名が確認できる画面キャプチャ |
| ハードウェアの導入 | 納品書、および設置状態と本補助金で導入したことを示すラベルが確認できる写真 |
| システムの改修 | 内訳の分かる見積書、選定理由書、改修以前から利用していたことが分かる書類、改修前の機能説明資料、設置状態の全体写真、システム名が分かる画面キャプチャ |
| 未登録の改修事業者へ依頼する場合 | 事務局指定様式の担当事業者情報。改修事業者が法人の場合は、履歴事項全部証明書の写しも必要 |
| 受発注・請求書管理システムの改修 | スマートレジまたはPOSレジとの連携関係を示すシステム連携図 |
請求書の請求日は、契約後かつ支払日以前である必要があります。口座確認書類は、金融機関名・金融機関コード・支店名・支店番号・口座番号・口座名義人名とそのカナ表記が確認できるものを準備します。
事務局から、作業内容の詳細などを確認する追加資料の提出を求められる場合もあります。申請に使うと分かっている書類だけでなく、見積もりから契約、納品、支払いまで、本事業に関するすべての書類を保管してください。
契約・支払いの前に確認しておきたい注意点
改修費用が税抜50万円以上の場合は、原則として相見積もりが必要
システム改修では、契約先または発注先1者当たりの見積額の合計によって、見積書の取扱いが変わります。
| 見積額の合計 | 必要な対応 |
|---|---|
| 50万円未満(税抜き) | 1者の見積書を提出 |
| 50万円以上(税抜き) | 原則として、同一条件による相見積もりを取得 |
最低価格を提示した事業者以外を選ぶ場合や、システムの性質等によって相見積もりが困難な場合は、選定理由書で理由を明らかにする必要があります。
なお、1者の見積書のみを取得する場合でも、選定理由書の提出は必要です。見積書は金額の内訳が分かるものとし、「改修費用一式」のように内訳が不明確な記載は認められません。
現金払い、カードの分割・リボ払いは認められない
支払方法は、原則として銀行振込またはクレジットカードの1回払いです。利用する口座やカードにも条件があります。
| 支払方法 | 主な条件 |
|---|---|
| 銀行振込 | 補助事業者が所有する口座から、IT導入支援事業者または改修事業者が所有する口座へ振り込むこと |
| 口座振替 | 利用可能。ただし、補助事業者から対象の事業者へ支払われたことを確認できる通帳等の書類が必要 |
| クレジットカード:法人 | 法人名義の口座から決済されるカードを使用し、1回払いで支払うこと |
| クレジットカード:個人事業主 | 個人事業主本人名義のカードを使用し、1回払いで支払うこと |
金融機関の窓口やATMを利用する場合でも、現金による支払いは認められません。クレジットカードの分割払いやリボルビング払いも対象外です。支払いを済ませてから条件違反に気付くことがないよう、契約前に支払方法まで確認してください。
レジの導入・改修は、申請条件の確認から
スマートレジ類型・POSレジ類型は、レジの導入や消費税率変更に対応するシステム改修を支援する制度です。一方で、対象製品の登録、既存システムとの連携、過去の交付申請状況、契約日、見積書、支払方法など、確認すべき条件が複数あります。
特に事前着手制度では、申請前に導入・改修と支払いを終えるため、購入後ではなく、契約・発注前に補助対象となる条件を確認することが大切です。申請予定の経費と必要書類を、導入先・改修先の事業者と共有したうえで準備を進めてください。
ココテラス株式会社では、デジタル化・AI導入補助金を活用したIT導入に関するご相談を受け付けています。現在お使いのレジやシステム、導入・改修を検討している内容、契約や支払いの状況をお知らせください。内容を確認のうえ、ご案内します。
参考:デジタル化・AI導入補助金2026事務局「スマートレジ類型・POSレジ類型の新設について」(2026年10月29日)
参考:中小企業庁「変化の時代に対応できるスマートレジの導入を支援します」(2026年9月15日・Ver1.0)












